未処理の生水をそのまま飲むと、雑菌や危険な化学物質を摂取する危険性が伴います。

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飲めそうなほどに澄んだ清流

 

生水とは、河川、湖、井戸から直接採取された未処理の水を指します。
冷たく澄んでいて美味しそうに思うことがありますが、そのまま飲むと健康に悪影響を及ぼす危険性があるのです。

 

なぜ生水を飲んではいけないのか、生水を飲んだらどうなるのかについて紹介します。

 

生水を飲んではいけない理由

生水をそのまま飲んではいけない理由は、大きく分けて2つあります。
健康に悪影響があるという共通点はありますが、その原因については様々だといって差し支えないでしょう。

 

細菌・微生物・虫がいる

 

水の中に生息する小さな微生物たち

 

第一の理由として、細菌・微生物・寄生虫が含まれている点が挙げられます。

 

生水には大腸菌やノロウイルス、カンピロバクターウイルス、赤痢菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌、カビなどといった重篤な病気を引き起こすものが存在している可能性が高いです。
目に見えないほど小さなボウフラやミミズ、線形動物が潜んでいることもあります。

 

ろ過・浄化していない生水を口にした場合、感染症にかかる恐れがあります。
その場合の症状は、下痢や嘔吐、発熱、食中毒などです。

 

化学物質に汚染されている

湧水の場所にもよりますが、生水が周囲の環境によって汚染されていることがあります。
その種類は農薬や重金属、工場排水、家庭用廃水、化学肥料など多岐に渡り、特に井戸水の場合は汚染されている可能性が高く、そのまま飲むのは危険です。

 

化学物質に汚染されている水を飲むと、吐き気、下痢、嘔吐、目眩、意識障害などの急性中毒や、神経障害、免疫機能の低下などの慢性中毒を引き起こすことも。

 

時として、細菌や微生物を含む生水よりもダメージを受ける可能性があります。

 

生水による被害の事例【平成以降】

 

井戸の中

 

幼稚園で起きた井戸水汚染

1990年、埼玉県の幼稚園で提供されていた井戸水を飲んだ幼稚園児や児童の家族らが、下痢や腹痛、吐き気などを訴えた事件が起きました。
原因は、園内にあったし尿タンクの漏水で、その漏水に混じっていた大腸菌が井戸水を汚染していたというものです。
最終的に死者2名、被害報告者数319名という大変な被害を出しました。

 

旅館業で起きた井戸水汚染

とある地域の旅館に宿泊した客が、次々と食中毒を起こした事件がありました。
その地域一帯で、自家用水として井戸水を使っていましたが、その井戸水はふん便に汚染されており、ノロウイルスを含有していたのです。
汚染された井戸水は飲用や調理用、生活用水として利用されており、それが原因で40名近い有症者を出しました。

 

商業施設で起きた井戸水汚染

とある商業施設で提供された飲み物を飲んだ利用客が、次々に嘔吐、下痢等の食中毒症状を訴えました。
その施設に設置されていたジュースディスペンサーと製氷機に井戸水が使われており、その水がひどく汚染されていたことが原因です。
第三者が立入検査を行なった際、井戸水には浮遊物が浮いており、目に見えて汚い状態だったといいます。

 

生水の危険性を認識しよう

飲用禁止

実際に多くの被害者を出した事件の大半が、汚染された井戸水によるものです。
周囲の影響を受けやすく非常に汚染されやすいうえに、多くの人が利用するため被害が拡大してしまったのでしょう。

 

特に地方の山奥だと井戸水や地下水を使っているケースも少なくないため、旅行などで訪ねる場合は事前に訊いておくことが重要です。

 

また、ハイキングや登山などで、冷たく澄んだ水源を見つけても絶対に口にしないようにしてください。
いくら澄んでいたとしても、ろ過された水道水の方が比べ物にならないほど安全で美味しいのです。

 

自然に近いもの=体にいいという幻想を捨て、生水には十分に警戒するようにしましょう。

 

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